とにかく使って下さい!文句なしに良いのです。
その壱 「出発」
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「シュロたわし」は地場産業として各社が製造していた。
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児玉勲も例にもれず、「シュロたわし」を販売していたものの、オリジナル性に乏しく、特長のある商品を求めていた。昭和35年、ダッコちゃんブームの年だ。
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彼は「ナイロン不織布」を見たのがきっかけとなり、「スポンジ」と貼り合わせる方法を考案する。
こうしてキクロンAが、誕生したのである!
その弐 「苦労」
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画期的な「キクロンA」ができた訳であるが、売れ行きが思わしくない。
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当時「シュロたわし」が10〜30円だったのに、この「キクロンA」は90円という破格な値段であった。
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児玉は得意先を訪れると、
必ずキッチンに入り商品の良さを説明し …
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行き帰りの電車内では、乗り合わせた人にサンプルを渡して「とにかく使って下さい! 文句なしに良いのです」といって回った。
その参 「出逢い」
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数年たったある日…。
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「売り上げを3倍にするイラストを描く自信がある」という絵描きが児玉のもとを訪れた。
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それは当時としては画期的な「異国婦人」のイラストであった。彼は「キクロンA」のパッケージを一新させた。さらに、それまでのパッケージ表記はキクロンだったが、正式にキクロンAと改名した。
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その後、同タイプ商品の価格競争が激化。値下げを相当悩んだが、品質とパッケージデザインがポイントとなり、価格維持を図った。この頃から、売り上げは倍々ゲームのように増えていったのである。
その四 「人気」
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単に独創的であっただけでなく、「品質保証と安全性」を追求した「キクロンA」は相当なシェアを占める大ヒット商品になった。
使いやすさを追求する姿勢は今も変わらず、接着剤を柔らかくして、さらに手になじむ感触に仕上げるなど見えない箇所での研究開発を続けている。
あの絵描きが言った「3倍」が、何百倍になって、今の「キクロン」を支えているのだ。
使いやすさを追求する姿勢は今も変わらず、接着剤を柔らかくして、さらに手になじむ感触に仕上げるなど見えない箇所での研究開発を続けている。
あの絵描きが言った「3倍」が、何百倍になって、今の「キクロン」を支えているのだ。